炎症性腸疾患治療の基本は塗り薬??

5-ASA製剤は塗り薬?

✨みなさん5-ASA(ごあさ/ファイブアサ)製剤って知っていますか?

 5-ASA製剤とはペンタサ®️、アサコール®️、リアルダ®️の総称です。

この薬の大きな特徴は、特殊なコーティングにあります。普通の飲み薬は消化吸収された後に、肝臓や腎臓で代謝を受け、全身に作用します。一方、5-ASA製剤はコーティングによって消化されずに腸まで届き、腸で溶け始め直接付着することで効果を発揮します。
イメージとしては「大腸に届く塗り薬」のような働きなのです。

飲み薬だけではなく坐薬や注腸薬といった肛門から使用するものもあります。特に直腸付近に炎症が起きやすい潰瘍性大腸炎の方には効果が期待できます。一方で、小腸にも炎症が起きやすいクローン病の方では5-ASA製剤は使わないこともあります。

⚠️ 注意ポイント
・噛み砕いたり割って飲むとコーティングがはがれて効果が弱くなります。
・便の中に薬のカラが出てくることもありますが、これは中身が溶けた後のカラだけなので、多くの場合は心配ありません。

どの5-ASA使ってますか?

ペンタサ®、アサコール®、リアルダ®の3つの薬をまとめて「5-ASA製剤」と呼びます。
3種類それぞれに特徴があり、違いを知ることで、より自分に合った治療を理解する手がかりになります。

ペンタサ®
ペンタサは、時間とともに少しずつ溶ける特殊なコーティングがされています。そのため、大腸だけでなく小腸でも薬が溶けて作用し、5-ASA製剤の中で唯一クローン病にも使用が認められています。錠剤だけでなく顆粒タイプもあり、錠剤を飲み込むのが苦手な方にも使われます。ただし、下痢が非常に多い場合には、溶け切る前に排出されてしまうため効果が弱くなる可能性が指摘されています。

アサコール®・リアルダ®
これらの薬は、小腸と大腸のpHの違いで溶ける仕組みのため、小腸では効果が出にくく、クローン病には適応がありません。特に、肛門に近い直腸の炎症に効果が期待されるため、大腸カメラで「直腸の炎症が強いですね」と言われる方で処方されることが多い薬です。リアルダ®は1日1回の服用で、飲み忘れが多い方にも向いていますが、錠剤が大きく、飲みにくいと感じる方もいます。

ナゾのくすり?サラゾピリンってなに?

みなさんサラゾピリン®️という薬を知っていますか❓サラゾピリン®️は5-ASA製剤の仲間なのですが少し特殊な薬なので聞いたことがない方も多いかもしれません。

サラゾピリン®️は5-ASAとスルファピリジンという2つの成分で作られています。5-ASAについてはこれまでもお伝えしてきたように大腸で放出されて塗り薬のような効果を発揮しますが、スルファピリジンは腸で吸収されて効果を発揮します。このスルファピリジンが良くも悪くもこの薬の特徴になるのです✨

スルファピリジンは5-ASAとは異なる抗炎症効果を発揮するため潰瘍性大腸炎やクローン病の方で5-ASAだと炎症が良くなりきらない方でも有効な場合があります❗️しかしその一方で、発熱や蕁麻疹、頭痛、精子減少症(薬を中止すると回復)などの副作用を起こすことがあります😣 それでも、ステロイドや免疫抑制剤のような免疫力を下げて感染症に弱くなるような作用はないため、一定の需要がある薬なのです☺️

5-ASAのみで炎症がくすぶっている方で、免疫を下げることに抵抗を感じる方は、副作用のリスクを含めて主治医とご相談の上で使用を検討ください。

この記事を書いた人

橋本 悠
橋本 悠医療法人石井会 石井病院
【資格・所属】
日本炎症性腸疾患学会専門医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
医学博士

炎症性腸疾患に関する研究や論文を多数執筆。
2017年より横浜市立大学附属市民総合医療センター IBDセンターで診療・研究に従事。
2019年に地元・群馬へ戻り、炎症性腸疾患チームのリーダーとして診療を継続。
2025年より石井病院にてIBD診療を担当し、2027年には県内初となるIBD専門外来を開設予定。