IBDと結石🪨
腸の痛みだと思っていたら、、、
「いつもの腸の痛みだと思って、しばらく様子を見ていました」
左下腹部の痛みを感じたその患者さんは、炎症性腸疾患と長く付き合ってきたこともあり、また腸の調子が悪いのだろうと考え、数日間我慢して過ごしていました。腹痛は日常的に経験しているため、多少の痛みには慣れてしまっていたのです。
しかし、痛みは次第に強くなり、違和感を覚えて受診したところ、腸の炎症ではなく、原因は尿管結石でした。
実は、炎症性腸疾患の患者さんでは、下痢による慢性的な脱水や、腸管吸収の変化、胆汁酸代謝の影響などから、尿管結石や胆のう結石といった石の病気を併発しやすいことが知られています💡痛む部位が腸と近いため、腸の痛みと自己判断してしまい、発見が遅れることも少なくありません。
「いつもより痛みが強い」「痛みの質が少し違う」、、、そんな変化は、腸以外の原因を疑う大切なサインです❗️いつもの痛みだと決めつけず、違和感があれば我慢しすぎず、早めに医療機関へ相談することが大切です✨

炎症性腸疾患と尿管結石
炎症性腸疾患のある方は、下痢による脱水や腸からの水分の吸収の変化により、尿が濃くなりがちです。その影響で尿の中に小さな石が作られるリスクが高まることが知られています。
尿管結石の痛みは左右どちらかのお腹や腰に出ることが多く、突然始まり、これまでに感じたことのないような強い痛みと感じる方も少なくありません。一方、炎症性腸疾患による腸炎の痛みは痛くなったりやわらいだりを繰り返すことが多く、下痢や血便を伴うことが多い点が違いです。
予防で一番大切なのはこまめな水分摂取です。尿の色が薄い状態を保つことを目安に、水やお茶を少しずつ飲みましょう。食事は極端な制限をせず体調に合った内容を心がけましょう。
尿管結石は痛み止めを使いながら水分摂取をこまめに行い、自然に出てくることを待つのが一般的な治療です。しかし熱が出たり、痛みが長く続く場合には治療が必要になることもあります。いつもと違う痛みを感じたら我慢せず早めに医療機関へ相談ください。

炎症性腸疾患と胆のう結石
炎症性腸疾患のある方では、「胆汁酸」という消化を助ける液体の吸収や流れが変わりやすいことが知られています。その影響で、胆のうの中に石ができやすくなってしまうのです。
胆のう結石は症状が出ないこともありますが、みぞおちや右上のお腹に痛みが出ることがあります。特に脂っこい食事のあとに痛みが起こりやすいのが特徴です。
また、腸の手術、とくに回腸を切除したことのある方では、さらに胆のう結石ができやすいとされています。日頃から脂っこい食事は控えめにしつつ、極端な食事制限は避け、体調に合った食生活を心がけましょう。炎症性腸疾患の炎症を抑えることも予防につながります。
一時的な痛みであれば痛み止めで様子を見ることもありますが、痛みを何度も繰り返す場合や、熱を伴う場合、長く続く場合には、胆嚢に感染を起こしている可能性があり、手術などの治療が必要になることもあります。いつもと違う痛みを感じたら、我慢せず早めに医療機関へ相談してください。
この記事を書いた人

- 医療法人石井会 石井病院
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【資格・所属】
日本炎症性腸疾患学会専門医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
医学博士
炎症性腸疾患に関する研究や論文を多数執筆。
2017年より横浜市立大学附属市民総合医療センター IBDセンターで診療・研究に従事。
2019年に地元・群馬へ戻り、炎症性腸疾患チームのリーダーとして診療を継続。
2025年より石井病院にてIBD診療を担当し、2027年には県内初となるIBD専門外来を開設予定。
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